周囲で見守る人々の役割を解説

自閉症スペクトラム障害(ASD)は約100人に1人が発症するといわれています。自閉症スペクトラム障害はさまざまなタイプがあり、個々のケースで特性が異なり周辺の人々は接触する方法を考える必要があるのです。自閉スペクトラム障害の人々は状態が多様なだけに、取り巻く方々は信頼できる専門家のアドバイスをもとに適切な対応が求められます。本記事で自閉症スペクトラム障害について詳しく解説しましょう。

1. そもそも自閉スペクトラム障害(ASD)とは

自閉症スペクトラム症ともいわれる「自閉症スペクトラム障害(ASD)」は、英語ではAutism Spectrum Disorder(ASD)と表記されます。

2013年までは、自閉症・アスペルガー(Asperger)症候群・広汎性発達障害など、さまざまな呼び方がありました。

現在はこのような症状をすべてまとめて「自閉スペクトラム障害(ASD)」と呼ばれています。

1-1. 約100人に1人が発症

自閉スペクトラム障害は遺伝的な要因が原因して発症するといわれています。しかも遺伝的要因が複雑に絡みあって発症する、生まれつきの脳機能障害です。発症する確率は人口100人に1人、約1%といわれています。

1-2. 自閉スペクトラム障害は多様

自閉スペクトラム障害の状態は非常に多様で、さまざまな症状が出ます。それだけに対応する側も個別のケースごとに、個々の状態に合わせた最適な方法が求められるのです。自閉スペクトラム障害は多様なだけに、主治医の医師や専門家のアドバイスをもとにする必要があります。それぞれの状態を正しく理解し、個々のニーズに合った最適な療育や教育的支援が求められます。

2. 自閉スペクトラム障害の症状

自閉スペクトラム障害の重症度は個々のケースでさまざまです。言葉の遅れ・反響言語(オウム返し)・会話不成立など言語そのものが未発達であったり、コミュニケーション能力に障害が現れたりすることも多く見られます。

また他者とともに関心を共有することが苦手で、積極的に仲間に入れず社会性の低下がみられがちです。

友だちがいても一方的な関わりしかできない・感情の共有ができない、対人的相互関係を構築する能力も劣っていることがあります。

2-1. こだわり行動

自閉スペクトラム障害でみられる特異な症状が「こだわり行動」です。自分のやりたいことや自分の考え方に強く固執し、興味や関心が極端に偏ります。徹底的にひとつのことにこだわり続けることがあるのです。

2-2. 自閉スペクトラム障害の併存症

自閉スペクトラム障害ではさまざまな併存症が知られています。70%以上の人がひとつは精神疾患をもち、40%以上の人がふたつ以上の精神疾患をもっているといわれています。とくに知的能力障害(知的障害)をもつ例が多くみられるのです。また発達性協調運動症(DCD)・ADHD(注意欠如・多動症)や、不安症・学習障害(限局性学習症、LD)・抑うつ障害もしばしば併存しています。 医学的併存疾患(いがくてきへいぞんしっかん)として、てんかん・睡眠障害が合併しやすいことも知られているのです。てんかんは知的障害が重い人ほど、併存するケースは多く認められる傾向があります。

3. 自閉スペクトラム障害の原因

現在自閉スペクトラム障害の原因は特定されていません。さまざまな遺伝的な要因が、極めて複雑に関与し合って起こります。

生まれつき脳の機能障害が原因し、障害を発症すると考えられているのです。また胎内環境や妊娠後期の周産期トラブルなども、関係している可能性が考えられます。

生まれてからの生活環境、とくに親の育て方やしつけが自閉スペクトラム障害発症の原因になることはありません。

3-1. 自閉スペクトラム障害の発生傾向

近年自閉スペクトラム症の人は、約100人に1人いると報告されています。圧倒的に男性に多く、女性に比べると約4倍の発生頻度です。女性は知的障害を伴うことが多くみられます。知的障害もなく言語も正常にしゃべる女性は、自閉スペクトラム障害の現れが目立ちにくく過少評価され、困難をいっそう感じる可能性があります。

4. 自閉スペクトラム障害(ASD)の治療

自閉スペクトラム障害が完治できる根本的な治療法は確立していません。そのため自閉スペクトラム障害は「療育」と「生活環境の調整」で対応します。自閉スペクトラム障害の人は、それぞれが独特の方法で物事を学んでいきます。個々の発達ペースに沿った治療法や療育、生活環境の調整・教育的な接し方が必要です。かかりつけの主治医の指示を守ることが大切といえるでしょう。

4-1. 薬物療法

薬物療法については自閉スペクトラム障害そのものでなく、併存する精神疾患の病状に応じた薬物療法が実施されます。

てんかん発作や睡眠障害・多動性、衝動性・自傷行為・興奮・攻撃性などの症状で生活に支障がある場合は、薬物治療も検討されることがあります。

さらに精神症状でみられる不安・うつ・緊張・過剰に興奮しやすいなどを抱えていたり、暴言・暴力・自傷行為などの問題行動が起きたりした場合は、薬物治療が検討されるのです。

4-2. 療育

療育とは「個々の発達の状態や障害特性に応じて、現在の困りごとの解決と、将来の自立、社会参加を目指し支援もする」ことです。自閉症スペクトラム障害のある子どもさんに対する療育の場合は、一人ひとりの障害特性や発達の段階を見極めます。その状態に合わせて対人関係のサポートや積極的な社会参加を促していき、最終的に自立まで導くようにしていくことです。

5. まとめ

個々で多様な症状がある自閉症スペクトラム障害は併存疾患を伴うことも多く、周囲で見守る方々の的確な対応が重要です。極めて特異な才能を持ち合わせていることもあり、好きな面を伸ばす対応も必要といえるでしょう。 カイロプラクティックには、脳の発達を促すプログラムが用意されています。「子どもブレインバランスセンター」では、カイロプラクティックで発達障害の子どもさんの改善を試みております。効果が期待できる症例も見かけているので、脳の発達に不安を感じる子どもさんに対して、親御さんとともに改善を取り組みましょう。