2024年04月09日

発達障害は、『治りますか?』『治りませんか?』

発達障害は、『病気』ですか?

問い合わせの中でよく聞く質問に、「うちの子が、発達障害といわれましたが『治りますか?』」という問いかけがあります。

厚生労働省は発達障害について、『発達障害は脳の機能に問題を生じた疾患で機能障害が発達期に見られる』と発表しており、この文章からは「疾患が病気である」と理解してしまう人も多いかと思います。

したがって、『病気』だから『治す』という感覚をもたらします。

しかし、ここで伝えておきたいのは、脳がウイルスに侵されたことで発生した疾患を「治す」というのは、考え方として違うということです。

発達障害とは、脳の発達する機能に問題が生じることで、スムーズな発達が妨げられているという状態を指します。

つまり、脳の発達させる機能を妨げている原因を解決することができれば、再びスムーズな発達が始まるということになります。

 

脳のスムーズな発達とは?

子供の脳は、まだ発達が始まったばかりの状態であり、生まれたての脳の神経細胞の数は、大人とほとんど変わりないといわれています。

脳のサイズは、6歳ごろに大人の90~95%になります。

生まれたての脳は、神経細胞が多くても細胞間をつなぐ神経線維がまだ多くありません。

脳の発達とは、この神経線維を増やして細胞間のやり取りを増やすことを意味し、成長に伴って細胞の入れ替えと共に脳の効率化が行われます。

また、発達速度は落ちるものの、脳の発達は大人になっても続きます。

中枢神経の発達の順番は、背骨の中の脊髄から始まり、頭蓋骨の中の脳の中心部の脳幹が発達し、外側に向かって脳の一番外側の皮質へと向かいます。

皮質は、目からの情報量が多いため後頭葉から発達が進み前頭葉に進みます。

つまり、脳の発達は中心から外側へ、後ろから前に進むのです。

 

脳の発達の違いによってどうなるの?

米国のカイロプラクティックドクターのDr.ロバート・メリロの著書「Disconnected kids」の題名にもなっている通り、脳の神経細胞の発達は、何かしらの要因によって一部の神経細胞間のやり取りが促されない状態によって妨げられます。

また、この影響は人によって様々であり、人によっては「不得意」にとどまることでも、特定の人においては「障害」と診断されるまで苦手意識を持ってしまうこともあります。

人はだれしも発達の違いがありますので、得意 / 不得意があります。

それを受け入れて生きていけるものであれば、特徴と考えて心配ありません。

しかし、受け入れがたい状態の「不得意」であれば、不得意な領域の神経間のやり取りが増えるように脳を育てる必要があります。

 

どうしたらスムーズな発達に戻せるの?

脳を育てるためには、まず原因を調べる必要があります。

カイロプラクティックには、機能神経学という分野があり、様々な領域の神経の働きを調べる方法があります。

また、発達障害については、世間で様々な誤解や先入観が広まっています。

厚生労働省の政策レポートの中には次のように述べられています。

『発達障害は「先天的なハンディキャップなので、ずっと発達しない」のではなく、発達のしかたに生まれつき凸凹がある障害です。人間は、時    代背景、その国の文化、社会状況、家庭環境、教育など、多様な外的要因に影響を受けながら、一生かけて発達していく生物であり、発達障害の人も同様であると考えていいでしょう。つまり、成長とともに改善されていく課題もあり、必ずしも不変的なハンディキャップとは言い切れないのです。もちろん個人差はありますが、「障害だから治らない」という先入観は、成長の可能性を狭めてしまいます。周囲が彼らの凸凹のある発達のしかたを理解しサポートすることにより、「ハンディキャップになるのを防ぐ可能性がある」という視点をもつことは重要です。』

上記のレポートの中では、発達障害について「先天的」や「生まれつき」という表現が使用されているため、外部的な処置によって変化するものではないという印象を与えてしまいます。

しかし、『不変的なハンディキャップとは言い切れない』とも書いてあるため、読んでいて迷ってしまうところです。

Dr.ロバート・メリロのブレインバランスプログラムは、20年前から実績を積み上げてきています。

アキヒロカイロプラクティックオフィスでも、カイロプラクティックを通して数々の子供たちの成長の変化を見てきました。

当然、脳を育てるには、相応の時間が必要となりますが、施術を行ったその場で変化を感じることも多くあるため、子どもの脳の状態によってその速度は様々であることは確かです。

したがって、期間を区切って考えることはできません。

時間を区切るより、能力的な目標を決めて期待をもって脳を育て目指すことが重要です。