注意欠如・多動性障害(ADHD)
2023年07月22日

ADHDと薬の関係性について

ADHDとは?

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は脳内の神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンの不足や神経伝達の調節異常が生じることによって、注意力の散漫や衝動的で落ち着きのない行動などの症状があらわれるとされています。

ドパミンやノルアドレナリンは、脳内の神経回路のシナプスで、シナプス前終末から神経伝達物質が遊離(放出)され、神経後シナプスが受け取ることで情報が伝達されます。

遊離された神経伝達物質の一部は「再取り込み」といって、遊離した神経前終末へ回収されます。

ドパミンあるいはノルアドレナリンの再取り込みを抑えることで、これら神経伝達物質の神経後シナプスの受け取りを強めることが期待できます。

そのために、再取り込みを阻害するような薬を処方されることがあります。

チックについて

 ADHDの子どもの中には、成長期に瞬きを頻繁にしたり、襟が気持ち悪いのを気にして頸を頻繁に動かしているような仕草をしたり、無意識に声が出てしまったりという「チック」があります。

これらは、無意識の動作です。

原因として臨床的にストレスやたんぱく質不足などから調節系の神経の乱れとして表れていることが多く見受けられます。

アカシジアを知ってますか?

 このチックと似た症状で、精神科のお薬の服用中に起こる副作用で「じっとしていられず、身体が動いてしまう」「座ったままでいられない」「寝ていても勝手に手足が動いてしまう」というような症状が起きてしまうことがあります。

 これは、アカシジアという薬の副作用なので、薬を服用して3日から6週間で現れることが多いのですが、数か月から数年して現れたり、複数の薬の組み合わせによって現れたりするので、副作用と気が付かずに単に症状が悪化したものと思って、さらに薬の量が増えて悪化してしまうことさえもあります。

 厚生労働省の疾患別マニュアルによりますと、

「一般にアカシジアは主にドパミン遮断薬により発現し、その中止ないし減量、あるいは中枢性抗コリン薬の併用などにより症状は軽減ないし消失する。

その発生頻度は定型抗精神病薬では 20~40%と報告されているが、錐体外路症状の軽減を図って開発された非定型抗精神病薬でも、発生頻度はそれほど減っていないという指摘もある。

アカシジアの発生機序はドパミン遮断作用が一因と考えられているが、十分に解明されているわけではなく、最近では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などドパミン遮断作用を有しない薬剤での報告もなされており、アカシジアを起こしうる薬剤は抗精神病薬以外にも多岐にわたる。」

とされています。

 達障害の子どもにも処方が承認されている精神薬であっても、鉄の欠乏や糖代謝異常などが伴って症状が出現しやすくなることもマニュアルに記載されています。

 発達障害の子どもは、鉄の欠乏や糖代謝異常を伴うことが多く、薬の服用を考える前に十分注意を払ってください。

 何か普通とちょっと違うなと感じたら、自己判断で服用を中止したり放置したり せずに、早急に医師又は薬剤師に連絡してください

自己判断での服用の中止によって、さらに重篤な症状が出現する場合があることに注意して下さい。