注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いとは?背景や詳細を徹底解説!
「注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いが知りたい」
「注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の歴史的背景について理解したい」
注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)を抱えている方、あるいは症状を抱えている保護者の方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。
注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)は、発達障害の一種であり、それぞれ似た部分もあれば異なる意味を示す部分もあります。
そこで今回は、注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いをはじめ、これらの言葉が示す症状などについてもご紹介します。
注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)について詳しく理解したいという方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違い
まずはじめに、注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いについてご紹介します。
結論から述べると、注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いは、症状に「多動性」が含まれるかどうかです。
そのため、言葉の意味としては注意欠如多動症(ADHD)は「多動性」を含んでいますが、それ以外は注意欠陥障害(ADD)と同様の意味を持つということです。
とは言え、現代の医療機関では注意欠陥障害(ADD)と診断されることはなく、本人が多動性の症状を抱えていようがいまいが注意欠如多動症(ADHD)と診断されるようになっています。
注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の歴史的背景
次に、注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の歴史的背景についてご紹介します。
前述したように、現代の医療機関の診断では注意欠陥障害(ADD)と診断されることはなく、注意欠陥障害(ADD)は注意欠如多動症(ADHD)に含まれるという形になっています。
注意欠陥障害(ADD)という言葉が世に浸透したのは、1980年に出版された「DSM-Ⅲ(精神障害の診断・統計マニュアル第3版改訂版)」が登場してからです。
「DSM-Ⅲ(精神障害の診断・統計マニュアル第3版改訂版)」とは、アメリカ精神医学会が発行する国際的な医療診断基準であり、医師は基準を元に患者の症状や具合を判断します。
しかし、1987年に改良された「DSM-Ⅲ-R」では、注意欠陥障害(ADD)の診断基準に新たに多動性の症状が追加され、診断名が「注意欠如多動症(ADHD)」に変更されました。
つまり、注意欠陥障害(ADD)という言葉は存在しているものの、現代の医療業界では注意欠如多動症(ADHD)という名称で統一されているのです。
注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の症状
本項目では、注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の代表的な症状について、以下の3つをご紹介します。
- 不注意
- 衝動性
- 多動症
① 不注意
注意欠如多動症(ADHD)の代表的な症状の1つ目は「不注意」です。
注意欠如多動症(ADHD)を抱える方は、持続的な注意の維持が困難であると感じる場合が多々あります。
子どもや大人に関わらず、授業や仕事の途中で他のことへ気が散ってしまい、「聞き逃し」や「うっかりミス」を繰り返す傾向があります。
また、人との会話の内容を追って理解することや、適切なタイミングで返事をしたりすることが難しくなることがあります。
不注意は、単なる「集中力不足」ではなく、神経生物学的な症状であり、前頭前野の機能異常と関連していると考えられています。
② 衝動性
2つ目は「衝動性」です。
衝動性は、よく考えて行うべき判断や行動の抑制が困難な状態を指します。
慎重に考えて行動しなければいけない場面でも、状況や結果を十分に考慮せずに行動を起こしてしまう傾向があります。
また、順番を待つことに困難を感じたり、他者の会話や活動を中断したりする行動、さらには質問が終わる前に答えを口にしたり、不適切なタイミングで発言したりすることもあるでしょう。
一方感情のコントロールの面では、気持ちの急激な変化や、怒りの爆発、フラストレーションが溜まりやすいなどの症状が見られることがあります。
③ 多動症
3つ目は「多動症」です。
多動症は、過度の身体的活動や落ち着きのなさとして現れます。
注意力の欠如や衝動性と関連する部分もあり、じっと座っていることが困難で、不必要に動き回ったり、手足をそわそわさせたりする傾向があります。
また、過度に話したり、静かに余暇活動に参加することが難しかったりすることもあるでしょう。
特に幼い子どもの場合は、これらの症状が個性によるものなのか、注意欠如多動症(ADHD)による影響なのか、判断が難しい場合があります。
家庭での判断が難しいという場合は、学校の先生からの意見や他の子どもの行動と比較して客観的に考えることがポイントです。
注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の原因
本項目では、注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の原因についてご紹介します。
結論から述べると、注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の明確な原因は現代でも解明されていません。
それ故に、薬や手術などによる完全な治療も難しく、あくまで症状を一時的に抑える、あるいは症状を少しずつ緩和させるようなアプローチが用いられます。
とは言え、注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)の背景が全く解明されていないという訳ではなく、これらを含めた発達障害は脳の成長過程における問題が原因であると言われています。
「ブレインバランスセラピー」や「カイロプラクティック療法」は、子どもの脳の発達の妨げとなっている原因を取り除くことで、本来の成長を取り戻すアプローチとして、当院でも多くの子どもに対して提供しています。
また、注意欠陥障害(ADD)や注意欠如多動症(ADHD)への薬物療法については「【注意欠陥障害(ADD)に効果的な薬とは?】具体的な治療薬や対処法をプロが解説!」にて解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
症状を抱える子どもへの接し方
最後に、注意欠如多動症(ADHD)の症状を抱える子どもへの接し方について、以下の3つをご紹介します。
- 理解と共感を示す
- 安心できる環境を提供する
- 個人に沿った教育や学習環境を用意する
注意欠如多動症(ADHD)の症状を抱える子どもの保護者は、ぜひ本項目の内容を参考にしてみてください。
① 理解と共感を示す
注意欠如多動症(ADHD)の症状を抱える子どもへの接し方において重要なことの1つ目は「理解と共感を示すこと」です。
既にご理解の通り、集中力が保てないことや衝動にかられてしまうことは、子どもが意識的に取っている行動ではありません。
それなのにも関わらず、周りの子どもと異なる言動を理由に白い目を向けられる、先生などから叱責される、といったことを日常的に経験してしまいます。
そんな中、子どもにとって重要なのは、保護者や家族からの理解や共感であり、子どもの言動を理解してあげるという保護者の意識は、本人にとって大きな支えとなります。
まずは子どもに寄り添い、理解と共感を示すことが重要です。
② 安心できる環境を提供する
2つ目は「安心できる環境を提供すること」です。
前述したように、注意欠如多動症(ADHD)によってもたらされる症状は、本人の意思に反したものであることも多く、子どもは日々の生活の中で想像以上のストレスを抱えてしまいます。
学校やそれ以外の場所についても、子どもにとって不安や恐怖を感じる場面も多々あるでしょう。
そんな子どもの精神を安定させるためにも、自宅や家族との時間は、注意欠如多動症(ADHD)を抱える本人にとって安心できるものである必要があります。
子どもに向き合い、日常生活における安心できる場所を提供する意識が重要です。
③ 個人に沿った教育や学習環境を用意する
3つ目は「個人に沿った教育や学習環境を用意すること」です。
子どもがどんな状況であれ、幼少期の子どもにとって教育や勉学は非常に重要です。
しかし、注意欠如多動症(ADHD)を抱える子どもにとって、学校での教育や塾での指導には抵抗を感じてしまうこともあるでしょう。
不注意や衝動性などの症状を持つ以上、それは仕方のないことです。
しかし、だからといって勉強や教育を放置してしまうことは避けなければならず、保護者として少しでも子どもが勉強に取り組みやすい環境を用意することが重要となります。
得意分野や苦手分野を明確にし、子どもにとって最適な学習環境を保護者が用意することが重要です。
発達障害に関するご相談は、子どもブレインバランスセンターへ
いかがでしたでしょうか。
今回は、注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)の違いというテーマで、歴史的な背景や具体的な症状、子どもへの接し方などをご紹介しました。
注意欠陥障害(ADD)と注意欠如多動症(ADHD)は、似たような言葉として使用されることが多々ありますが、現在では注意欠如多動症(ADHD)に統一されていると言えます。
また、注意欠如多動症(ADHD)と診断される子どもは現代でも増加傾向にあり、放置しておくと子どもの成長や将来に関わる問題へと発展してしまう場合もあります。
子どもが抱える注意欠如多動症(ADHD)に気付いた場合は、ぜひ一度子どもブレインバランスセンターへご相談ください。