【場面緘黙症とは?】症状や診断基準、治療方法などについて解説!
「場面緘黙症って具体的にどのような症状のことを指すのだろう?」
「子供が抱える場面緘黙症について、どのように向き合えば良いのだろうか?」
場面緘黙症を持つ子供を抱えている方、あるいは場面緘黙症について詳しく知りたいと考えている方の中には、このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、このような悩みや疑問を抱えた方に向けて、場面緘黙症の具体的な症状や治療法、適切な向き合い方などについて詳しくご紹介します。
場面緘黙症とは?
まず初めに、場面緘黙症の概要についてご紹介します。
場面緘黙症は、5歳未満の子供の約500〜600人に1人の割合で発症すると言われている精神疾患であり、人によっては大人になってからも慢性的な症状として抱えるものとして知られています。
代表的な症状としては、学校や職場、人が多く混在するような特定の社交的な場面において上手く話すことが出来なくなるという状態が挙げられ、発声に関する器官には障害が無いのにも関わらず話すことがままならない点が特徴です。
また、家や家族とのコミュニケーションは問題無く行うことが出来るという点から、単に子供の人見知りなどの性格によるものであると判断されることも少なくなく、実際に場面緘黙症という確信を持つことが難しい点もポイントです。
症状が発覚する時期としては、幼稚園や保育園など、不特定多数の他者とコミュニケーションを取る機会に遭遇する3歳〜5歳程度のタイミングで症状に気が付くことが多いとされていますが、人によっては小学生や中学生になってから症状が現れるケースもあります。
場面緘黙症の症状について
次に、場面緘黙症の症状についてご紹介します。
前述したように、場面緘黙症の主な症状としては、家などの落ち着いた場所では何の問題もなくコミュニケーションを取ることが出来るのにも関わらず、家庭環境以外の特定の場所においては全く話すことが出来なくなってしまう状態が知られています。
一般的な人見知りや内向的な性格との最も大きな相違点は、特定の場所や場面で話すことが出来ない状態/症状が数ヶ月から数年などの長期に渡って続く点が挙げられ、特定の状況に慣れることなく症状が継続するとされています。
また、話すことが出来ない状態に加え、自身の意思に反して体が動かなくなるケースも珍しくなく、自身が話している場面が注目されたり、人に自分の話を聞かれる際に強い恐怖感を抱く点も特徴です。
他にも、場面緘黙症の症状として、子供と大人でそれぞれ以下のような状態が挙げられます。
【子供の場面緘黙症の症状】
- 不安や緊張を感じる
- トイレに行きたいと言い出せない
- 授業中や休み時間に、声を出して話すことが出来ない
- 体育の授業やその他の場面で、動くことが出来ない
- 出欠確認の際に、返事をしたり、手を挙げたりすることが出来ない
【大人の場面緘黙症の症状】
- 職場や社会の場で、声を出して話すことが出来ない
- 慣れない状況下などで、仕事における動作が出来ない
- プレゼンテーションや挨拶、雑談などを行うことが出来ない
個人や状況によって、症状の見え方や度合いは異なりますが、これらの症状が継続的に感じられる場合には、場面緘黙症と判断することも視野に入れるべきかもしれません。
場面緘黙症の原因と背景について
次に、場面緘黙症の原因と背景についてご紹介します。
結論から言うと、場面緘黙症の明確な原因については、現代でも正確には分かっていません。
単一的な特定の原因によって発症するものではなく、子供が抱えるある種の不安感情に加えて、心理的要因や外部的な要因などが重なることによって発症するとも考えられています。
また、家庭環境や育て方、幼少期に与えられたトラウマなどが原因で発症するのではないか、と懸念する方も一定数いますが、ほとんどのケースにおいてこれらの影響は関係がないことが分かっています。
一定の割合の子供が持つとされる行動抑制的な気質や内気な性格などの内部的な要因と、急激な環境の変化や友達からのいじめなどによる不安感情の高まりなどといった外部的な要因が重なって発症してしまうと考えるのが、現段階における最も自然な解釈と言えるでしょう。
場面緘黙症の判断基準について
次に、場面緘黙症の判断基準についてご紹介します。
場面緘黙症の判断基準については、本記事内でもご紹介した症状などに基づいて個別に判断することが一般的ですが、世界的にも場面緘黙症の判断基準が設けられています。
世界で定められている場面緘黙症の判断基準には大きく分けて以下の二通りが存在します。
- アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5
- 世界保健機構(WHO)の判断基準であるICD-10
これらの判断基準は、いずれも各組織によって公に発表されているもので、それぞれの内容には複数の項目が含まれています。
また、これらの判断基準は個人で場面緘黙症を判断するためのものではなく、あくまで医師による診断時の指標となるものである点も覚えておきましょう。
(※ 厳密には、これらは場面緘黙症のみを判断する指標ではなく、DSM-5は精神疾患の診断基準/診断分類の1つであり、ICD-10はより広義での疾患と健康状態を判断するための基準です。)
場面緘黙症の治療法について
次に、場面緘黙症の治療法についてご紹介します。
場面緘黙症はその特性上、本人や親が気が付きにくいという側面もありますが、精神疾患である以上、症状が発覚した場合にはプロに相談することが必要と言えるでしょう。
明確な原因が知られていない上に、症状や程度にも一人ひとりに差があるため、まずは医師とともに状態を正確に把握することが重要です。
特定の薬や治療によってすぐに治るようなものではありませんが、場面緘黙症には主に以下のような治療法/対策が存在します。
(子どもブライン バランスセンターでも、場面緘黙症に関する相談や治療に関するサポートを行っていますので、まずはお気軽に「お問い合わせ」にてご相談ください。)
認知行動療法
一つ目は「認知行動療法」です。
認知行動療法は、場面緘黙症の治療法として最も手軽に取り組むことが出来る治療方法であり、自身の考え方や行動パターンの癖を理解し、どのような対策を講じることで症状を緩和させることが出来るかについて考える手法です。
場面緘黙症以外にも、抱えている障がいや病気がある場合には、それらの症状をしっかりと理解した上で、自身を取り巻く環境等を考慮して対策を考えることが重要です。
カイロプラクティック療法
二つ目は「カイロプラクティック療法」です。
カイロプラクティック療法とは、手技による調整を中心とした治療法で、特に背骨や関節の機能障害を改善し、全体的な身体の健康を促進することを目的としています。
場面緘黙症や発達障害といった症状は、その原因として神経系機能の過剰な反応や発達の異常による影響を受けている側面もあり、脊椎の調整を通じて神経系の機能を最適化するカイロプラクティック療法は、これらの症状に間接的に良い影響を与えことが可能です。
また、カイロプラクティック療法はアメリカやカナダでは既に幅広い層から広い認知を得ており、運動機能の向上やストレス軽減といった身体機能全般に良い影響を与える手法としても注目されています。
子どもブライン バランスセンターでは、カイロプラクティック療法に関する豊富な経験と深い知見を持つ院長が、場面緘黙症や発達障害といった症状に対するサポートを行っているので、気になる方は是非お気軽にご相談ください。
薬物療法
三つ目は「薬物療法」です。
薬物療法は、直接的に場面緘黙症の症状を治すわけではありませんが、関連する症状である不安な感情やうつ状態を緩和させることが出来る薬によって間接的に場面緘黙症の治療を試みる手法です。
処方される薬は医師による診断によって提供されるため、まずはどのような症状や特徴を持っているのかを医師に相談することが優先です。
言語聴覚士による支援
四つ目は「言語聴覚士による支援」です。
言語聴覚士は、コミュニケーションサポートによる治療を専門とする専門職であり、症状として吃音(流暢に話すことが出来ない状態)や不安感情が見られる際に大きな手助けとなります。
一人ひとりの症状に合ったコミュニケーションや言葉を活用しながら、徐々に環境に慣れていくためのサポートによって場面緘黙症を少しずつ緩和させることが出来るでしょう。
TMS治療
五つ目は「TMS治療」です。
TMS治療とは、別名経頭蓋磁気刺激法とも呼ばれており、脳の前頭葉への電磁刺激を用いて場面緘黙症を治療する方法です。
軽い頭痛や頭皮痛といった副作用が見られることもありますが、磁気を介して電気抵抗の高い頭蓋骨をこえて、脳をピンポイントで電気刺激することで根本的な原因となっている脳に直接アプローチすることが可能です。
うつ病だけでなく、精神疾患や神経内科疾患、発達障害にも効果が期待出来る治療法のため、医師の見解次第では検討しても良いかもしれません。
場面緘黙症の最も効果的な対策は安心出来る環境をつくること
本記事では、場面緘黙症の症状や判断基準、治療法などについてご紹介しました。
既に前述した通り、場面緘黙症は内部的な要因と外部的な要因によって幼少期に発症する場合がほとんどであり、精神的な回復を行うためには早期に発見し、適切な治療によって症状の緩和を図る必要があります。
また、本記事でもいくつかの治療法についてご紹介しましたが、最も重要なのは「安心することが出来る環境を用意すること」です。
いずれの治療法もそれぞれの症状に適切な手法ではありますが、根本的な治療においては、現状と適切な対策を理解した上で、少しずつ異なる環境に慣れていく取り組みです。
家庭環境や学校、職場など、場面緘黙症を持つ方が精神的に安心することが出来るような環境づくりを意識することが、本人にとっても周囲の人にとっても最適な対策と言えるでしょう。
まずは、場面緘黙症に関する専門的な知識を持つプロに現在の状態を伝え、場面緘黙症の症状を緩和させるための最適な環境づくりについて共に考えることが重要です。
また、子どもブレイン バランスセンターでは、アメリカやカナダで自然治療として認められているカイロプラクティック機能神経学に精通した院長と共に、場面緘黙症を持つ患者に寄り添って治療に取り組む環境を用意しています。
場面緘黙症について適切な知識への理解を深めたい、最適な治療や向き合い方について知りたいという方は、是非お気軽に「お問い合わせ」にてご相談ください。
本記事の内容が、場面緘黙症を抱える方、あるいは場面緘黙症を抱える方の周囲の方々によって有益なものとなれば幸いです。