2024年07月07日

【大人が抱える注意欠陥障害(ADD)とは?】具体的な症状や対策についてプロが解説!

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)の特徴や実生活における症状を知りたい

注意欠陥障害(ADD)の特徴について、子どもが抱える症状などと比較したい

注意欠陥障害(ADD)を抱えている大人の方、あるいはその周囲の方の中には、このように考えている方も多いのではないでしょうか。

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)は、個人の特性や環境によって症状が異なり、各状況ごとに対処すべき方法も異なります。

そこで今回は、大人が抱える注意欠陥障害(ADD)について、特徴や原因、そして仕事への影響などをご紹介します。

本記事の内容は、注意欠陥障害(ADD)を抱える本人だけでなく、周囲の人や本人をサポートする方なども対象としているので、ぜひ参考にしてみてください。

また、子どもブレイン バランスセンターでは、主に発達障害や境界知能を持つ子どもを対象に、各個人に合わせた最適なサポートを行っています。

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)に関するご相談も受け付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。

ADDとADHDの違い

まずはじめに、注意欠陥障害(ADD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の違いについてご紹介します。

ADDとADHDはどちらも発達障害の一種であり「注意欠陥」を示す言葉ですが、時代の変遷とともに診断基準が異なり、現在はADDという診断結果がADHDに含まれる形となっています。

つまり、従来は注意欠如という症状のみに焦点が当てられてADDという診断名があったのですが、現在はそれと同時に多動症などの症状も含めて診断されることが一般的となっており、ADDという診断もADHDとして表現されるようになりました。

本記事では、あえてADDという名称で統一し、多動症という症状についても解説していきます。

また、ADDとADHDの違いや特徴、治療法については「注意欠陥障害(ADD)とは?ADHDとの違いから改善に向けた施策」にてより詳しく解説しているので、気になる方はぜひこちらもご覧ください!

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)の症状と特徴

次に、大人が抱える注意欠陥障害(ADD)の症状と特徴について、子どもの症状と比較してご紹介します。

結論から述べると、大人であれ子供であれ、注意欠陥障害(ADD)が示す言葉の意味に違いはありません。

しかし、大人が抱える注意欠陥障害(ADD)の場合は、注意力が低いことが原因で活動に集中できない、やるべきことや物を忘れてしまう、といった症状の方がより目立つ傾向にあり、多動症に関連する症状は比較的落ち着いている傾向にあります。

つまり、子ども注意欠陥障害(ADD)の場合は注意力、集中力どちらも欠けている状態であることが多いですが、大人の場合は注意力の欠陥のみが問題として認識されやすい傾向にあるのです。

特に、プライベートや仕事などにおける責任感や重要性が高い大人の方が、注意欠陥障害(ADD)による注意力の欠如が深刻であることから、そちらの方がより注目されやすいという背景もあります。

また、子どもの頃は個人によって性格や特性に大きな差があるため、注意欠陥障害(ADD)を持つ子どもの症状があまり目立たないという側面もあります。

これら複数の要因などから、大人の注意欠陥障害(ADD)による注意力の低さが目立つ傾向にあり、その点の原因や対処に注目されることが多いと言えます。

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)の原因

次に、注意欠陥障害(ADD)の原因についてご紹介します。

結論から述べると、注意欠陥障害(ADD)の正確な原因は解明されていません。

多くの大人が抱える注意欠陥障害(ADD)が、幼少期から発症しているケースが多いですが、遺伝による脳の構造や環境による影響、発達の偏りなど、複数の原因があると考えられています。

そのため、原因を特定して対策を行うということも難しく、完治させるような治療法なども開発されていないのが現状です。

また、これは注意欠陥障害(ADD)だけでなく、発達障害の症状全般に言えることです。

注意欠陥障害(ADD)と発達障害の関係性

本項目では、注意欠陥障害(ADD)と発達障害の関係性についてご説明します。

前述した通り、注意欠陥障害(ADD)は発達障害の一種であり、注意力の持続や集中力の制御に困難を感じたり、体の落ち着きがないような多動症を示す言葉です。

一方で発達障害は、注意欠陥障害(ADD)以外にも、学習障害や自閉症スペクトラム障害なども含む言葉であり、脳の発達過程の問題による複数の症状を示しています。

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)による仕事への影響

本項目では、大人が抱える注意欠陥障害(ADD)について、仕事への影響に関する具体例を7つに厳選してご紹介します。

  1. 長時間仕事に集中することが難しい
  2. スケジュールや時間の管理が難しい
  3. 書類や物の整理が難しい
  4. 仕事の優先順位を付けることができない
  5. 会議や話し合いの場で不適切な発言をしてしまう
  6. 複数の作業を同時に行うことが難しい
  7. 仕事仲間とのコミュニケーションが難しい

注意欠陥障害(ADD)を抱える大人の方は、ぜひ本項目の内容を参考にして、自身の症状を改めて再確認する機会にしてみてください。

また、注意欠陥障害(ADD)を抱える本人の周囲の方は、本人がこれらの症状を抱えている可能性があるということを理解し、適切なサポートやアドバイスができるよう、考えてみることが重要です。

 

① 長時間仕事に集中することが難しい

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)が仕事に与える影響の1つ目は「長時間仕事に集中することが難しい」という点です。

前述したように、注意欠陥障害(ADD)を抱える大人は、特定の物事に長時間集中することが難しく、作業に飽きてしまったり、継続して何かをやり続けることに困難を感じやすい傾向にあります。

しかし、仕事の世界では、働く場所や職種に限らず、長時間集中して何かに取り組む姿勢が求められることが多く、注意欠陥障害(ADD)を抱えている場合は苦労してしまいがちです。

注意欠陥障害(ADD)によって長時間集中することが難しい場合は、都度休憩を取り、自分にとって最適なペースで仕事に取り組むことが重要です。

 

② スケジュールや時間の管理が難しい

2つ目は「スケジュールや時間の管理が難しい」という点です。

注意欠陥障害(ADD)を抱えている大人の場合、時間の感覚が曖昧になりやすく、締め切りの認識が甘くなったり、予定の管理が上手くいかなかったりすることがあります。

また、タスクにかかる時間を適切に予測できず、結果として予定が詰まりすぎてしまうこともあるでしょう。

このような現象が頻繁に見られる場合は、視覚的に予定を管理することが重要です。

また、タスクにかかる時間を余裕を持って見積もることや、定期的に自分のスケジュールを見直す習慣をつけると良いでしょう。

 

③ 書類や物の整理が難しい

3つ目は「書類や物の整理が難しい」という点です。

特にオフィスなどの仕事場では、デスクの整理整頓は効率的な仕事を行う上で不可欠ですが、注意欠陥障害(ADD)の影響により、片付けや整理が難しく感じることがあります。

それにより、重要な書類を紛失したり、必要な情報をすぐに見つけられなかったりすることがあります。

オフィスや仕事場に関わらず、普段の生活の中で整理整頓や片付けが難しいと感じる場合は、カラーフォルダーや付箋などを使用したり、定期的な整理の時間を設けたりすることが重要です。

 

④ 仕事の優先順位を付けることができない

4つ目は「仕事の優先順位を付けることができない」という点です。

注意欠陥障害(ADD)を抱えている大人の場合は、複数の仕事における優先順位が付けられず、どの作業から取り掛かれば良いのかが分からなくなってしまうケースもあります。

例えば、締め切りの迫った重要なプロジェクトよりも、目の前の小さな雑務に時間を費やしてしまったり、新しく与えられたタスクに惹かれ、進行中の重要な仕事を後回しにしてしまうこともあります。

そのような場合は、タスク管理ツールなどを活用することで、各仕事の締め切りや優先度を視覚化することが重要です。

 

⑤ 会議や話し合いの場で不適切な発言をしてしまう

5つ目は「会議や話し合いの場で不適切な発言をしてしまう」という点です。

注意欠陥障害(ADD)に含まれる多動性や衝動性、注意力の散漫さが原因で、状況にそぐわない発言や突然の話題の転換をしてしまうことがあります。

具体的には、他の人の話を遮って自分の意見を述べたり、議題とは関係のない話題を持ち出したりするといった行動です。

これらの行動は、悪意がなかったとしても同僚や上司からの不信感を買い、関係性を悪化させてしまう可能性もあります。

会議や話し合いの場で不適切な発言を避けるためには、会議前に議題を確認し、自分の発言内容や立場を事前に整理しておくことがポイントです。

 

⑥ 複数の作業を同時に行うことが難しい

6つ目は「複数の作業を同時に行うことが難しい」という点です。

特に年齢を重ねてより大人になると、仕事の場面で複数の仕事を任せられる機会も増えるでしょう。

しかし、注意欠陥障害(ADD)を抱えている場合は、複数の作業を同時に行うことができず、それぞれのタスクが中途半端になってしまうことがあります。

一部の仕事環境では、マルチタスクとして複数の仕事を同時進行で進める能力が求められる状況もあります。

しかし、注意欠陥障害(ADD)を抱えている大人の場合は、作業を整理し、順番に一つずつこなしていく姿勢が重要です。

 

⑦ 仕事仲間とのコミュニケーションが難しい

7つ目は「仕事仲間とのコミュニケーションが難しい」という点です。

注意欠陥障害(ADD)を抱えている場合は、同僚や上司と円滑な対人関係を築き、維持することが難しいと感じる場合があります。

注意欠如の症状により、会話中に注意が散漫になり、相手の話を最後まで聞き取れないこともあるでしょう。

さらに、非言語的なコミュニケーションの解釈が苦手で、相手の感情や意図を読み取りにくいということもあるでしょう。

そのような症状を感じた場合は、相手の話を復唱したり、メモを取ったりすることで、より理解を深めたり、積極的にコミュニケーションを取る姿勢を見せることが重要です。

注意欠陥障害(ADD)を感じたらどうする?

最後に、注意欠陥障害(ADD)を感じた場合にどうすべきかについてご紹介します。

日常生活の中で、注意欠陥障害(ADD)に関連する症状やそれに伴う困難で悩んでいる際には、まずは友人や職場の周りの人に相談することが重要です。

注意欠陥障害(ADD)では、自身の行動や症状に悩まされることも多いですが、それ以上に職場や仕事における人間関係の悪化を避けなければなりません。

そのためには、まず周囲の信頼できる人に相談し、自分が注意欠陥障害(ADD)による症状を抱えていることを相談することが重要です。

また、本記事でご紹介した仕事における影響などを考えた上で、適切な対策を試みる意識が重要と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、大人が抱える注意欠陥障害(ADD)について、その特徴や具体的な症状、仕事における影響などに焦点を当ててご紹介しました。

注意欠陥障害(ADD)は、注意力の欠陥や衝動的になってしまうことで、日常生活や職場で様々な問題が発生してしまう可能性があります。

今までと生活環境が変化し、注意欠陥障害(ADD)が気になるようになった、注意欠陥障害(ADD)の症状について相談したい、という場合は、躊躇せずかかりつけの医師や医療機関に相談すると良いでしょう。

また、子どもブレイン バランスセンターでは、主に子どもを対象に、発達障害や知的障害、境界知能に関するサポートを行っています。

大人が抱える注意欠陥障害(ADD)に関する相談も受け付けているので、注意欠陥障害(ADD)についてお悩みの際はぜひお気軽にご相談ください。